
6か月経営管理ビザ
Yoshio YamaguchiShare
外国人が日本で企業して会社経営をするためには経営管理ビザを取得する必要があります。その要件として、①会社設立②事務所開設があります。しかし、日本での在留資格がない状態で会社設立をし、事務所を開設することは、日本に協力者がいない限りは非常に困難です。
そこで、東京都は特別プログラムを用意しました(外国人創業人材受け入れ促進事業)。このプログラムを利用することによって、①②の要件を満たしていなくても6か月間の経営管理ビザを取得できるようになりました。そして、来日して6か月間の間に会社を設立し、事務所を開設し、6か月後に経営管理ビザを更新する、ということになります。
通常の経営管理ビザの詳細についてはこちらの記事をご覧ください。
下記は、通常の経営管理ビザと6ヶ月経営管理ビザの比較です。
通常の経営管理ビザ |
6か月経営管理ビザ |
|
期間 |
5年、3年、1年、4ヶ月、3ヶ月。実際には1年ごとに更新を行うことが一般的です。 |
6か月。6か月後には、通常の経営管理ビザを取得する必要があります。 |
事務所開設要件 |
ビザを申請する前に、事業所を確保する必要がある。 |
なし。ビザ取得後に事業所を確保します。 |
会社設立要件 (事業規模要件) |
ビザを申請する前に、資本金500万円以上の会社を設立する必要上がる |
なし。ビザ取得後に会社設立をします。 |
管轄 |
出入国管理局 |
東京都 |
プロセス |
事務所開設、会社設立→入管に在留資格申請→経営管理ビザ取得→日本入国→事業活動開始 |
東京都に申請→確認書の受領→入管に6か月経営管理ビザ申請→ビザ取得→日本入国→事務所開設、会社設立→入管にビザの期間更新申請→許可を取得→事業活動開始 |
6か月経営ビザには事務所開設要件と会社設立要件がないため、非常にハードルが低くなっています。他方で、6か月経営管理ビザはプロセスが多いため、事業開始までに時間がかかるとも言えます。
本国で事業計画作成する
6か月経営管理ビザには事務所開設要件と会社設立要件がない分、その審査にあたっては事業計画の重要性が一段と増していると言えます。事業計画及び他の提出書類によって、6か月後には通常の経営管理ビザを取得できるようになっているか、という観点から審査がなされます。事業計画は実行可能性が高く、信頼性あるエヴィデンスによって裏付けがなされる必要があります。
東京都へ創業活動確認申請
事業計画及び他の申請書類の準備ができたら、東京都へ申請を行います。原則とし、郵送は不可となっています。申請者本人か、資格のある代理人が持参をします。
持参できる人
・申請人本人
・公益財団法人入管協会の職員
・弁護士又は取次資格申請を有する行政書士
提出書類
① 創業活動確認申請書(兼同意書)
② 創業活動計画書 (サンプル、記入ポイント)
③ 履歴書 (サンプル)
④ 申請人の旅券の写し
⑤ 6か月間日本に滞在する場所の証明(賃貸契約申込書など)
⑦ 発行後1か月以内の残高証明書の写し(日本にて5百万円以上の投資が可能であることの証明になります)。 本人口座の残高証明書が必要です。
申請者と東京都職員の面談。
東京都のサイトでは、面談はオンライン又は対面で行うとの説明がなされていますが、2024年8月時点では、面談を行わないで承認されるケースが出ているようです。
東京都による審査
6カ月後に経営管理ビザ取得の可能性が高いか否かという観点から審査が行われます。審査官は下記の点を検討します。
・どのような事業を行うか?【事業内容】
・どこで事業を行うか?【事業実施地域】
・どこに事業所を開設するか?【開設場所】
・どのような準備、活動を経て事業を始めるか?【事業開始までの具体的計画】
・事業を始めるまで(創業活動)にどの程度の資金を要するか?その資金をどうやって調達するか?【創業活動資金】
・だれが会社の役員となり、どのような役割を担うか?【法人役員】
・どの程度の規模の事業を行うか【事業規模】
・事業を始めるまで(創業活動)の期間の住居は確保されているか
・生活するための資金は足りているか【居住地、生活資金】
東京都による回答
申請から2週間後に創業活動確認証明書を受領します。 証明書の有効期間は3カ月であり、東京入国管理局への経営管理在留資格の申請を行う時にこれを添付します。
在留資格の認定(6カ月経営管理ビザの取得)
続いて出入国管理局にて6か月経営管理ビザの申請を行います。東京都の創業活動証明書があることから、申請が承認される可能性は高いですが、必ず承認されるという保証はありません。
この時点では、事務所開設、会社設立ををしている必要はありません。しかし、5百万円以上の事業投資及び6か月間の日本滞在を可能とするだけの資金があることの証明書の提出は必要になります。
出入国管理局から6か月経営管理ビザの承認を得る
申請書類を審査を通過すると、出入国管理局は6か月経営管理ビザを承認します。これにより、日本への入国、事業計画に示した創業活動の開始が可能となります。
6か月間で次の創業活動を行う
日本の滞在して6か月間の間に、次の活動を実施することになります。
・住む場所を決定して賃借する。その市町村で住民登録をする
・個人の銀行口座を開設
・個人の銀行口座に資本金の払込みを行う
・会社設立登記を行う
・事務所の賃貸契約を締結する
6か月間の創業活動の進捗状況について、2カ月に1回の間隔で東京都から確認を受けます。
6か月の間、2か月に1回、東京都の職員が創業活動の進捗を確認しに来ます。
会社設立の状況:資本金の払込み、事業所開設、会社登記
コンプライアンス:日本での活動において、日本の法令を遵守しているか
困難、調整:困難な状況にあればその調整方法
在留期間の更新
経営管理ビザは6カ月で期限が切れます。期限が切れる前に経営管理ビザの期間更新を行います。その時、下記二つの要件を満たしている必要があります。
・500万円以上の資本金の会社設立済み
・事務所の確保
ビザの期間が更新されることにより、いよいよ日本での事業活動を本格的に行うことが可能となります。
まとめ
6か月経営管理ビザを取得するプロセスは多岐にわたり、入念な準備と実行が必要となります。上記に述べたプロセス ― 確固たる事業計画の作成、東京都の審査通過、創業活動の実行―をすることになります。東京都職員及び出入国管理局とは率直にコミュニケーションを取り続けましょう。6か月の期間の間に必要な要件の全てをクリアーすることによって、長期にわたり日本市場での事業成功を追及することが可能となります。